なんだかとてもいやな感じのコメントです。資材をタダで仕入れたも同然とは。倫理のかけらもない。 というコメントが正しいような気がする
2008年10月に民事再生法の適用を申請した新井組(兵庫県西宮市)と、2009年1月に自己破産の手続き開始を申請した富士ハウス(静岡県浜松市)。この二つの会社の支援に名乗りを上げた会社がある。IT(情報技術)関連会社のスピードパートナーズ(東京都中央区、以下、スピード社)だ。白石伸生社長にねらいを聞いた。
――スピード社は2009年2月、経営破綻した新井組と富士ハウスとそれぞれスポンサー契約を締結したと発表しました。新井組は兵庫県で最大手の建設会社、富士ハウスは東海・中京地区などを営業エリアとする住宅メーカーです。両社を支援する理由や内容を教えてください。
新井組の場合はまず、新井組が自社の全株式を無償で取得して消却します。次に、スピード社が2009年5月上旬までに新井組に5億円を払い込み、第三者割当増資を実施する。スピード社から新井組に新社長を送り込む予定です。
新井組は民事再生法の適用を申請した時点で、現金や預金が3000万円しかありませんでした。しかし、工事を再開するにつれて今後、着手金や中間金などの工事代金がどんどん入ってくる。3カ月後くらいには、純資産残高が50億円ほどになる見込みです。
新井組の主力銀行である三井住友銀行は、98%の債権カットに応じている。さらに、工事で使う材料などは、新井組が民事再生法の適用を申請する前に仕入れている。これらの代金も債権カットの対象になっているので、事実上は材料をタダで仕入れたようなものです。
つまり、純資産残高が50億円の会社を5億円で買いますよ、と。株価を1株当たりの純資産額で割ったPBR(株価純資産倍率)は0.1しかなく、投資パフォーマンスとしては「おいしい案件」です。
富士ハウスが残した顧客獲得で「13億円浮く」
――自己破産した富士ハウスの場合は、どうでしょうか。
富士ハウスが受注した住宅のうち、未完成物件の工事を引き継ぐための新会社「富士ハウス再建パートナーズ」(以下、再建パートナーズ)を2月24日に出資して設立しました。約2000人いた富士ハウスの社員のうち、技術職を中心とした200人ぐらいが再建パートナーズに移籍してほしい。いま人選をしているところです。
富士ハウスは破産したが、その先に多くの顧客がいます。着工済みで未完成の物件が728戸。そのうち2009年2月中に完成する予定だった250戸は、富士ハウスが継続して施工します。
一方、それ以外の着工済みで2009年3月以降に完成する予定だった約500戸と、契約したものの未着工のままになっていた約800戸を再建パートナーズが引き継ぐ。合計で約1300戸です。
住宅の受注コストは通常、広告費や宣伝費などで1戸当たり50万~100万円かかるといわれています。仮に1戸当たり100万円だとすると、1300戸を受注するためには13億円かかる。(工事費を先払いした後に富士ハウスが破産した)被害者を救済するだけで、再建パートナーズは13億円を浮かせた計算になります。
――実際に、再建パートナーズと工事を契約する顧客は、どれくらいになると予想していますか。
約1300戸のうち、およそ3分の1に当たる400戸程度を見込んでいます。2009年2月中旬に富士ハウスの顧客向けの説明会を開いたばかりなので、いまの時点で正確な数はわかりません。再建パートナーズが工事を引き継ぐ場合の見積書を作って、それぞれの顧客に提示している段階です。すでに何件かは契約が取れています。
再建パートナーズは、富士ハウスから工場を借り受けて材料などを加工します。施工も富士ハウスの協力会社に依頼する。「200年住宅(長期優良住宅)」など、従来の富士ハウスの設計や工法に基づいて工事を続けられます。
さらに、再建パートナーズは住宅完成保証制度にも加入する準備をしています。しかし、加入できるかどうかはわからない。再建パートナーズが設立して間もないことなどを理由に、保証会社の加入要件を満たせない場合があるからです。
住宅が竣工した後は、富士ハウスが過去に施工した物件も含めて、再建パートナーズが年間の保守点検やリフォームなどを手がけるつもりです。
――富士ハウスに数千万円の工事費を先払いし、金融機関のローンだけが残った顧客もいるようですが。
再建パートナーズは、富士ハウスの顧客が抱えた過去のローンにはタッチしません。しかし、そうした顧客には「ローン債権の一部を踏み倒しましょう」と説明会で呼びかけています。金融機関は富士ハウスがいずれ経営破綻するのを認識しながら、顧客に融資した可能性もある。私はかつて金融の事業に携わっていたのでわかるのですが、法的には問題ないと思います。
富士ハウスの顧客は、主に三菱東京UFJ銀行と静岡銀行でローンを組んでいました。この2行に限っては、私が顧客を代表して団体交渉をしているところです。
経営破綻した別の3社にも支援を打診
――不動産市況の悪化や公共事業費の削減で、建設会社の経営環境は厳しい。新井組などに再建のめどはあるのでしょうか。
新井組や富士ハウスはいずれも高い技術力を持っています。しかし、会社の規模が決して大きくはなかった。新井組の2007年12月期の売上高は約700億円、富士ハウスの2008年3月期の売上高は約400億円です。国内の市場が縮小する業界で、売上高が数百億円の会社の戦略を立てるには限界があります。例えば、富士ハウスは3カ所に工場を設けたが、これが過剰投資になってしまった。
建設会社の経営環境は確かに厳しいですが、私はいつも「逆張り経営」です。今どき建設会社の再建に興味を示す経営者が少ないからこそ、ビジネスチャンスがあると考えています。
まずは、経営破綻した会社のスポンサーに根こそぎ名乗りを上げて、支援する会社の売上高を合計2000億円程度にもっていこうと考えています。その規模になれば、資材の調達コストを抑えたり、先端技術の開発に投資したりと、生き残るためのさまざまなスケールメリットが出てくるからです。
スピード社はいま、経営破綻した建設会社や不動産会社のうち、新井組と富士ハウス以外にも3社ほどにスポンサーとして支援できないか申し入れているところです。経営に行き詰まっても、優れた技術と優れた顧客を抱えた会社は魅力的です。
建設会社のなかには、数千億円規模の売上高があるのに、株価の時価総額が100億円を下回るところもあります。こうした会社にTOB(株式公開買い付け)を仕掛けることも選択肢の一つでしょう。
――いずれは支援する会社同士を合併しようと。
いいえ。いまのところ合併は考えていません。
合併して2社が1社になれば、入札に参加できる機会も半分になってしまうからです。公共工事の場合、自治体などの発注者は地元の建設会社に優先して発注しようとしている。これも積極的に合併したくない理由の一つです。
いまは、新井組も再建パートナーズもスピード社の子会社になっています。将来は、スピード社の下に中間持ち株会社をつくり、中間持ち株会社の下に複数の建設会社や不動産会社がぶら下がることをイメージしています。
――スピード社は、小売業や食品メーカーなどを対象に、携帯電話を使った顧客管理サービスや販売促進サービスなどのIT関連事業を展開しています。IT関連事業と建設会社の事業はどのように関係するのでしょうか。
特に関係するとは思っていません。私が興味のある分野に投資するだけですから。建設や不動産の分野だけにこだわっているわけではありません。
ただし、スピード社が小売業向けに出店支援を手がけるなかで、店舗や物流倉庫などの設計や施工を、再建を支援する建設会社にお願いすることはあると思います。新井組の場合、こうした施設の施工実績が豊富です。
当面は、IT関連事業と企業再生事業。この二つがスピード社の柱になると考えています。後者の事業は今後10年間で相当、活性化するのではないでしょうか。
――企業再生事業とは、経営破綻した企業の価値を高めた後に売却して利益を得る、という事業ですか。
スピード社は、ファンドではなく事業会社です。IT関連事業か建設事業かにかかわらず、収益を安定的に上げられる事業は抱え続けるでしょうし、安定的に上げられなければ売却もします。規模の大小はありますが、これまでにも数件の買収実績があります。
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白石 伸生(しらいし・のぶお)氏
1972年生まれ。早稲田大学在学中の1994年に宝石販売のダイヤモンドシライシ(現シーマ、東京都中央区)を設立し、99年にジャスダック上場を果たした。さらに同年、スピードグループ(現プリモ・ジャパン、東京都中央区)を設立。2000年にサンクスなどと共同でインターネット上にスーパーを展開するイーコンビニエンス(東京都中央区)を設立し、01年から社長を務める。04年にはペット向けの共済を運営するスロー・グループ(現アイペット、東京都千代田区)を、07年には売掛債権保証サービスを手がけるスピードギャランティ(現スピードネット、東京都品川区)を相次いで設立した。
スピードパートナーズ
2006年5月に設立。本社は東京都中央区。株式は社長を務める白石伸生氏が90%を、伊藤忠食品が残りの10%を保有する。資本金は9000万円で従業員は30人。2008年3月期決算は売上高5600万円で、当期純損失200万円。携帯電話を使った顧客管理サービスなどのIT関連事業のほか、M&A(企業の合併・買収)の仲介なども手がける。
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コメント
私のような1000万円以上の被害者のおかげで金儲けしようとしていると受け取りました。
投稿: 富士ハウス被害者 | 2009年3月17日 (火) 22時45分